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2017年9月14日トピックス

技術者インタビューシリーズ 第2回 柴田哲二郎氏

バイオマス発電所プロジェクト シニアコンサルタント/機械設備

 

技術者として得た経験基に 安全・高効率な発電所建設を

オリンピアの再生可能エネルギー事業には、社内外の技術専門家チームが携わり、信頼性と確実性の高い発電設備設計に取り組んでいます。オリンピアがコンストラクション・マネジメントを務めるバイオマス発電所開発で機械設備の監修を行っている柴田哲二郎氏に、これまでの経歴や同プロジェクトについてお話を伺いました

 

 

 

 

 

加熱炉・ボイラ・インシネレータ──燃焼主体のエンジニアとして50年

──お仕事の経歴と専門分野について教えてください 

大学で化学工学を勉強し、その後長く、燃焼を主体にした装置エンジニアとして、熱バランス、物質バランス、伝熱計算、関連機器の設計に係る仕事をほぼ50年間に渡り従事してきました。

初めの頃は、そろばん、計算尺、数表、時には、手回し機械式計算機を駆使して燃焼計算、加熱炉(※石油精製装置及び化学装置においてプロセス流体を加熱する機器)等の設計を行いました。以来、発展するコンピュータ及びソフトを利用しながら、燃焼に関係する加熱炉、ボイラ、排ガス・廃液を焼却するインシネレータ、固体ごみを処理するごみ焼却炉、石油精製装置及び化学装置における運転開始時・運転停止時・緊急停止時において大量の装置内ガスを燃焼処理するフレア装置等々の装置設計等を手掛けました。

また、これらの装置の付帯機器としての、高圧熱交換器、高圧BFWポンプ、BFW脱気器、スチーム・ドラム、大型ファン、駆動機としてのスチーム・タービン等や、関連機器としてのパッケージ・ボイラや冷却塔等々の機器の設計、選択、購入業務も行ってきました。

燃焼を扱う装置はいずれも高温(中には1200℃を超すものもある)を扱うため、高温耐熱金属類、又は、耐熱・耐摩耗断熱材ライニングを扱ってきました。そのライニングに関係する装置として、C重油より重い重質油を分解してガソリン等を得る触媒流動分解装置があります。この装置の機器等の内面に内張する高温・耐摩耗断熱材ライニング設計、建設にも携わりました。

変わったところでは、小型ですが1000℃を超す高温エンジニアリング・セラミック流動層反応器の耐熱・耐摩材料の設計、製作や、環境装置としての燃焼ガスに係る脱硝装置開発等々の仕事を行ってきました。

──それら装置の設計や製作は、予算や条件により様々な制約を受けることがありますよね

これらの装置は一般に大型になることと、投資金額が大きくなることにより、その都度、要求条件を最適に満たした設計をすることが求められます。また、これらの設計条件が社会的に要求される、環境にやさしい条件等を満たすことはもちろんです。そのためには、装置に関する技術・詳細、規格、環境規制等、多方面からチェックすることが大切です。

 

失敗、チャレンジ、世界初の試み──分解炉の設計・建設に思い深く

──柴田さんが最も思い出に残るお仕事について教えてください

たくさんの仕事を行った中から、最も思い出に残る仕事を選ぶことについて考えた場合、チャレンジ的な仕事、開発的な仕事、失敗した仕事等々が数えきれない程浮かび上がります。

20代の頃、化学産業のコメと言われる基本原料であるエチレンをナフサから高温熱分解する分解炉の設計、運転に携わることになりました。初めて運転中の炉内を見たとき、白色光を呈する分解管(1000℃以上の高温度)には恐れを感じたのを覚えています。それ以来、たくさんの分解炉の設計・建設・運転を行ってきました。これらの分解炉には高温・高圧のボイラが付属します。それで、高温・高圧のボイラの設計、建設、運転にも携わることにもなった訳です。長い期間従事した分解炉関係の仕事は取り分け大きな思い出の中の一つです。中でも、世界でも初めての試みである高熱効率な分解炉にするため、燃焼用にガス・タービンの高温燃焼排ガスを利用する方式の開発、そしてその実装置の設計・建設の仕事に携わったことは最高の思い出ではなかったかと思います。

──1970年代のオイルショックの後は、既存の装置の改良が求められたとお聞きしました 

原油が高騰し、オイルショックが起こった後の仕事として、既存の燃焼装置をいかに省エネルギー装置に改造するかを求められた時期がありました。限られた既存のスペースにおいて、より高熱効率装置に改造するにはアイデアの勝負でありました。その時期は、連続してたくさんの加熱炉等の省エネルギー化工事を受注し、また、いかに設計、建設、運転するかについて思案を巡らせたことも大きな思い出の中の一つです。

──特に苦労したことや、忘れられない出来事があればお聞かせください

連続触媒再生式改質装置(ガソリンのオクタン価を改善する装置)用加熱炉の熱負荷、概略93MW (103,000,000kcal/hr)であったものの能力を約30%アップする大改造工事も、大きな思い出の中の一つです。というのは、既設加熱炉の概略大きさは横36.5mx高さ30mx奥行20mで、既設の狭い敷地にいかにして入れ、改造するか、大問題になりました。小径伝熱管の採用、ピッチを小さくするとともに大胆な改造方案を作成し、改造工事は30日間24時間の突貫工事を行いました。既設加熱コイルを撤去するため、その大きなケーシングを真っ二つに切った時には、改造加熱コイルを入れ込み復旧できるか大変不安になったことが忘れられません。また、工事が進み、期限ぎりぎりまで気の抜けない工事になりましたが、試運転に入った時の安堵感は何とも表現できません。

また、過去には、触媒流動分解装置の耐熱・耐摩耗断熱材キャスタブル設計・工事に携わったことがあります。重質油を分解してガソリン等を得る、触媒流動分解装置の重要な中心機器にあたる反応器、触媒再生器は、700℃の高温で運転されます。それぞれの機器の概略径・高さは5.7mx26m、9mx30mになる大型圧力容器です。これらの機器及び、その回りの付属機器・配管は耐熱・耐摩耗断熱材キャスタブル材によって内張されます。この種のキャスタブルは設計、施工管理、施工後の養生が非常に難しく、細心の注意が必要になります。なぜなら、摩耗性のある触媒が高温流体中に混合・流動する過酷な運転に耐えなければなりません。ちょっとしたキャスタブル施工管理条件の違いで、高温・耐摩耗断熱・強度性能が達成されないと、運転中に崩れ落ちることがあります。そうすると、運転継続は困難になります。業務としては、設計仕様、設計図の確認、また、国内大手機械メーカ数社にこれらの機器の製作を依頼し、キャスタブルを施工するときは関東、北陸、中国地方、九州に点在する大手機械メーカの工場に出かけ、チェックして回りました。建設工事現場においては、狭い配管内に入り、時には縄梯子を使ってキャスタブル施工状態をチェック・検査しました。無事完成し運転に入り、1年後の点検においても問題なかったときは努力が報われたと感慨深かったです。

──最近では、どんなお仕事を手掛けられましたか 

最近は、LNG plantにおいて概略燃焼量1時間当たり2,800 トン と1,200トンのガス、合計4,000トン(kgではない)を燃焼する超巨大な燃焼装置の設計に携わりました。この規模の燃焼装置では世界最大クラスだと思います。

 

ミスやトラブル回避──専門家による検査、スケジュール・コントロールの徹底を 

 

 ──現在オリンピアはバイオマス発電所の開発をすすめておりますが、この発電所建設にあたり、ご自身の専門分野において気になる事や留意されている点について教えてください 

バイオマス発電所の建設に関して、技術的には既に一般化した技術であり、経験豊富な会社に発注することになりますので、あまり心配はしておりません。特に気になる点はないと思っております。

これまでたくさんの大型プロジェックトに関係してきましたが、強いてあげるとすれば、計画・設計上の考え方を、実際の建設作業へもれなく反映し無事完成するためには、工程管理をしっかり行うことが肝要だということです。今後、各分野の工程を熟知した専門家が関与してゆくことになると思いますが、私自身も少しでもよい現場環境づくりに寄与できれば幸いです。

──約50年間、燃焼を主体にした装置等の設計・建設に携わってきた柴田さんですが、本プロジェクトに対する思いを教えてください

長い間、多種多様な機器の設計、建設に携わってきましたが、今回、木質バイオマス燃料を燃焼する発電所の設計に携わることができることは、また大きな思い出の中の一つになることでしょう。木質バイオマス発電所を構成する機器は、これまでに経験したボイラ用水処理装置、脱気器、高圧BFWポンプ、高圧ボイラ、スチーム・タービン、熱交換器、冷却塔等々から成り立っておりますが、再生可能エネルギーである木質バイオマス燃料を使用することで地球にやさしい発電所になります。今回も、安全・高効率で、運転容易な発電所になるように努めたいと思っております。

──お話ありがとうございました

(2017.09.09